平成28年 アメリカ給食産業視察団旅行記

株式会社三重給食センター 第二事業部 平安山智子

平成28年11月6日(日)~11月14日(月)の9日間、ロサンゼルス・ラスベガス・サンフランシスコの3都市で給食視察をさせていただきました。アメリカ大統領選挙が行われる日をまたぎ、賑やかであったり、一方ではデモが起きていたりと、アメリカの“今”を感じる事ができました。給食視察以外においても大変貴重な経験となりました。

■成田空港→ロサンゼルス空港へ出発

11月6日初日は14時に成田空港に集合し、各自搭乗手続きを終え、名刺交換会、団結式をし、17時ロサンゼルスへ出発いたしました。私は、初めてお会いする方々と初めての地に行く事に緊張でいっぱいでしたが、皆さん気さくに声をかけて下さって、とても心強いスタートとなりました。
名刺交換においては、会社名・お名前だけでなく、プラスの一言を添えて下さった方の印象が強く残っており、名刺交換一つにしても少しの事で印象に違いがあるのだと実感し、初日スタート早々に勉強させていただきました。

機内では、二度の食事があり、私は気持ちもアメリカに向かっているせいか、迷わず洋食を選びました。出来る事が限られている機内で、お食事の時間はとても楽しみでした。そこで食べたいものを選び、温かいものは当たり前のように温かく、また冷たいものは冷たく、食後にはアイスクリームまであり、とても満足できるものでした。

ロサンゼルス

~介護施設食堂視察:Silverado Senior Living~

こちらの施設の食堂は入った瞬間、まるでレストランのように華やかでした。テーブルにはクロスが敷いてあり、お花が飾ってあり、シルバーが並んでいる。施設のルールの中のひとつに“食器は陶器やガラスを使う、紙コップは使わない”というものがあるそうです。スプーンはどの人でも持てるようにデザインされているそうです。
 提供するお食事については、①おいしいこと②普通のものであること、を条件にしているそうです。また、喫食方法においても人それぞれ。食堂まで来る人もいれば、お部屋で食べる人もいて、さらには歩きながら食べる人にはスタッフが付き添いをして、食べさせているそうです。この施設にいる全ての人が食事を摂れることを大切にしていて、その日の食事が気に入らなければ、代わりにハンバーガーやサンドイッチを作って食べてもらうそうです。
 何よりも“食べる”事を一番大切に考える、お客様目線のサービスは委託給食会社である私たちも見習わなければいけないと感じました。

~スーパーマーケット視察と調理実習~

ホテル近くのスーパーマーケットにて視察、食材調達。前菜・主食・メイン・デザート・調味料・飲み物の6班に分かれ、それぞれの班でメニューを考え、買い出し、調理までを行いました。出来上がりは本当にご馳走ばかりで、感動してしまいました。食事をしながら経験豊富な先輩方とお話をしたり、また仕事以外のお話をしてくださったりと、とても良い時間を過ごさせていただきました。最後には改めて自己紹介をし、団員の皆さまの第一印象とはまた違った面を知ることができました。この場に居れる事に改めて感謝しなければいけないと気が引き締まりました。

~学校給食配送センター視察~

こちらは、ロサンゼルス区域の950校のうち、210校の学校に配送を行っているアメリカでも一番大きなセンターでした。センター内は日本に比べ無駄が少ないように感じました。

スタッフにおいては、日本では頭からつま先まで、出ているところは目と手の平くらいですが、こちらのセンターでは半ズボンの人もいれば、ヘアネットをしてない人もいました。マスクはほとんどの方がしていませんでした。髪が生えてなければネットはいらない、ズボンはダボダボでなければ特に指定は無いそうです。それでも異物混入事故は年に一件程度で、食中毒事故は一度も起こしたことはないそうです。この点は、アメリカと日本での考え方の違い、保護者の感覚の違いが大きいのではないかと思いました。
日々の清掃は調理スタッフがするのではなく、調理スタッフとは別に清掃専属のスタッフがいて、完全に業務が分担されているそうです。完全に分担することで質の高い衛生管理が保てているのではないかと感じました。  実際子どもたちが食べる食事は、昼食がほとんどですが、朝食や夕食まで提供する事もあるそうです。朝は8時半~9時半に学校で朝食を食べる為の時間が設けられており、また放課後に補習のある生徒には夕食を食べて勉強するようにしているそうです。こちらでも、アメリカの“食べる”という事を一番大切にする姿勢が見受けられました。

ラスベガス

~ホテル社員食堂視察:コスモポリタンホテル内従業員食堂~

初めてのラスベガスは、想像をはるかに超える、世界が変わったような街並みでした。そのど真ん中にあるコスモポリタンホテル。余裕のある富裕層ではなく、比較的若い層をターゲットにしているそうで、他のホテルに比べどこか現代的のように感じました。こちらのホテルでは、従業員食堂と宴会場の厨房を案内していただきました。 このホテルで働く人は約5500人いて、その中の約4000人が利用する食堂は、ちょうどお昼時間でたくさんの人で賑わっていました。貴重なお昼休憩の邪魔にならないよう2班に分かれ案内していただきした。 メインと、サラダ、スープ、ドリンクを選ぶタイプと、すぐに食べられるようカップに入ったサラダのようなものがありました。それぞれの勤務スタイルに合ったものを選べるようになっていて、働きやすい環境のひとつになっていると感じました。

~夕食:Lawry’s~

 ラスベガスにあるプライムリブの有名店へ。プライムリブとは、アメリカンスタイルのローストビーフのようなものだそう。 まず出てきた“スピニング・ボウル・サラダ”は、名物のひとつになっていて、陽気なウエイトレスさんがボウルを回しながらドレッシングを絡めて取り分けてくれました。メインのお肉はワゴンで席まで運ばれてきて、目の前でカット、してくれました。味もボリュームもパフォーマンスも大満足のディナーでした。

~グランドキャニオン観光~

セスナ機に乗り、グランドキャニオンまで約1時間の飛行。目の前に広がった光景は言葉に表せられない程の感動でした。一生の宝物になりました。自然の偉大さと自分の小ささを思い知らされ、しばらく見つめてしまいました。
何とも言えない迫力で、これまでの悩みを吹き飛ばすような、またこれからの力になるような大きなパワーをいただきました。

サンフランシスコ

~企業の社員食堂視察:California Academy of Science~

 サンフランシスコにある科学博物館で、その中にあるカフェテリアとテラスカフェ(ガストロパブ…お酒を取り扱う)を案内していただきました。
 この日は祝日だったせいか、多くの利用客で賑わっていました。
サンフランシスコはサステイナブル(環境破壊せずに維持・継続する)な街で、さまざまな点で環境により良い配慮をされていました。プラスチックは使用しない事や、缶のゴミを減らす為に業者に依頼し最小ロットを大きくし、缶から袋に変更してもらったり積極的に取り組んでるそうです。また、欲しい食材がなければどれだけ予定を立てていたメニューでも食材を変更したり、傷ついたメロンがあれば買い取って、工夫をしてレモネードにし、5日で売り切ったりと臨機応変なシェフの対応がとても勉強になりました。シェフの“プロである以上、自然に従う”という言葉がとても印象的でした。
来館者が繁忙期だと約4,000名で、閑散期になると約500名と幅があるそうで、スタッフ調整に苦労する話もあり、国が変わってもやはり悩みは同じなのだと身近に感じました。売上に対する人件費や食材費の割合も細かく教えていただき、大変勉強になりました。

~サンフランシスコ市内観光~

視察旅行も終わりに近づいて少し寂しくなり始めていました。昼食は、フィッシャーマンズワーフの名物である、酸味のあるサワーパンが器になったクラムチャウダーをいただきました。少し濃い目のクラムチャウダーでしたが、パンと合わさってちょうど良い感じで満足感のあるランチでした。

~フェアウェルパーティー~

 みんなで集まれる最後のディナー。最後もやっぱりお肉です。これまで団員を引っ張って来て下さった東団長と添乗員の品川さんに感謝の気持ちを伝え、最後のステーキを楽しみました。
 研修中、夕食の時間は毎回違う人の隣に座るようにし、いろんな方と情報交換をさせていただきました。同じ給食業界でも、私はほとんど経験のない営業の苦労話を聞いて、自分の未熟さや、また、新しい事にも挑戦してみたいと思えたりと、これから先の栄養士人生において大きな活力をたくさんいただきました。

~その他、散策中の発見~

 スーパーやコンビニエンスストアに売られている食品は、日本に比べると高めだと感じました。カットフルーツが一人分で$8程度。おやつで買うにはちょっとお高め。日本ではよく見るお惣菜のゆで卵ですが、アメリカだと一個で$2もしました。お弁当もワンコインとはいかない価格設定でした。日本でも“安ければいい”という考えから、お金を出しても“どこで育てられたのか、誰が作ったのか”を重視するように変化しているように見受けられますが、その点ではアメリカの方が進んでいるように感じました。


~研修全体を通して~

今回の研修で、視察先ではもちろんたくさんの事を勉強させていただきました。ですがそれ以上に、同じ給食業界で活躍されている団員の皆さまとご一緒出来事が何より嬉しく、貴重な時間となりました。初めは9日間もあるのだからとのんびりしておりましたが、終わってみると本当にあっという間でした。一日一日が贅沢で濃厚でした。普段の業務を思えば、なんて狭い世界で悩んでいるのだろうと、良い方向に考えを変換でき、また人は努力しないといけないのだと心から実感する事が出来ました。
まだまだ未熟な私にはもったいないほど素晴らしい9日間でした。

このメンバーの一員である事に誇りを持ち、感謝の気持ちを忘れず、これから先の給食業界で少しでも力になれるよう努力してまいりたいと思います。